月ごとのアーカイブ: 3月 2019

「ネットフリックス大解剖」とThe OA

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DISK UNIONのDU BOOKSから出ている「ネットフリックス大解剖」という本を読んだ。傑作と呼ばれ人気の高いNETFLIXのオリジナル・ドラマ11本を詳しく解説したもので、僕はこの中で紹介されている中で完走したのは「ベター・コール・ソウル」(と「ブレイキング・バッド」)と「ストレンジャー・シングス 未知の世界」と「ブラック・ミラー」の3本だけだったが、より深く理解できる内容でとても面白かった。「ナルコス」はスチャダラパーのANIが紹介していたので挑戦したのだけど、シーズン1のエピソード1で何度か断念していた。しかしこの本でシーズン1のエピソード2から劇的に面白くなると書いてあったので、もう一度挑戦してみようと思う。紹介されたそれぞれのドラマで筆者が違うので、その文章や解説の好き好きはあったけど、きっとこの本で紹介されているのは、話題にもなっていてハズさないものばかりなんだろう。なので、これから気長に全てのドラマを見ていこうと思う。
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で、最初に見たのがThe OA。名前はなんとなく知っていたけど、全然興味もなくマイリストにも入れていなかったので、この本がなければ見ることはなかったはず。行方不明になっていた盲目の女性プレイリーが、7年ぶりに地元に戻ったら何故か目が見えるようになっていた。というところから話しはスタートする。4人の若者と1人のおばさんを仲間にし、夜な夜なその7年間の話しをプレイリーがみんなにしていくというのが大まかな筋。臨死体験をメインにオカルトというか宗教的というか自分にはあまり馴染のない感じだし、派手な展開もなくじわじわストーリーが進んでいくだけなのに、何故かハマってパート1を数日で見終えた。とにかく最後のエピソードがもの凄くて感動した。ネタバレしないように書いているので、何のことかわからないだろうし、クセがありまくるドラマなのでハマる人はハマるけどダメな人は完全にダメだとも思います。でも個人的には傑作だと思うし、せっかくならあまり前情報を入れずに見てもらえればな、と。ちなみに前述の「ネットフリックス大解剖」はめちゃくちゃネタバレしているので、見る前に読まないほうがいいですよ。

で、ナイスタイミングで3月22日からパート2もはじまって、こちらもほぼイッキ見しちゃいました。ワケあってみんなと離れ離れになったプレイリーの場面と仲間になった若者とおばさんの場面に加え、新たな登場人物として謎を解く探偵も加わり、その3つの場面が複雑に絡むスリリングな展開。特に若者とおばさんのパートはロードムービーというか青春映画のようで、めちゃくちゃ面白く、これはパート1を越えたかも、と思いました。が、後半の展開があまりにもぶっとんでいて難解すぎたうえに、謎が解ける前に新たな謎をたくさん放り投げられたようで、ちょっと消化不良。この謎や伏線をパート3以降できちんと回収できるのであれば、もの凄い傑作と語られることになるのではないでしょうか。まだだいぶ先になるでしょうが、続きが楽しみなドラマです。

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にわか

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「にわか」に関しては優しくありたいし、優しくされたいと常々思っています。何かのきっかけで興味を持つのは当たり前。ピエール瀧騒動で興味を持ちメルカリでCDが高騰するのも想定内。もちろん作品のお蔵入りや自主規制に賛成ではありませんが、電気グルーヴって同情されたり署名されたりするのが似合わないので僕は署名はしません。署名したほとんどの人は今まで電グルのCD買ったことないだろうし、もし回収撤回されてもCD買わないだろうしね。というのは今回のブログとは全く関係のない話し、冒頭からいきなりの余談で失礼しました。

先日、30周年を記念した大人計画大博覧会in福岡と松尾スズキのトーク「なんとかここまで起訴されず」を見に行ってきました。トークショー本編はもちろんですが、最後の質疑応答も十分時間を取ってくれ、大変面白かったです。本編で松尾さんが、大人計画は授業で答えがわかっていても挙手しない人や、グイグイこないタイプの人を集めたと話していたし、なにより500人のお客さん前に発言するのは緊張するので、僕は様子を見ていました。しかし前のほうの席に座っていた女性は誰よりも早く手をあげて「先日入江雅人さんの帰郷という舞台を見たらそのグッズのイラストを松尾さんが描かれていましたが、これからイラストの仕事も考えられているのでしょうか?」と質問しました。松尾さんの活動を少しでも追っていたらコラムをはじめたくさんのイラストを描いていることは知っているだろうし、何より今回の博覧会の入ってすぐのスペースに大量のイラストが展示してあったので、この質問には面食らいました。松尾さんも大人なので、元々漫画家志望でイラスト仕事をしていて腱鞘炎になり断念したことなど丁寧に答えていたのですが、そのあとも、入江さんのイラストを描いた経緯や、もしスケジュールが合えばその公演に出演していましたか?、などとグイグイきました。

その人のおかげでどんな質問をしてもよい雰囲気ができたのも確かで、その後は硬軟とりまぜよい感じの質問が続き和気藹々とした雰囲気の質疑応答になりました。7、8人くらいの質問が出たところで意を決して僕も挙手しました。本編でも松尾さんの笑いに対するこだわりがたくさん語られていたので、コラムなど活字の笑いについてのモチベーションについて質問しました。コラムを書き始めたころは最大8誌くらい連載を持ち、その当時は大人計画の名を広めるために書いていた。「こんなに面白いコラムを書く人のやっている劇団ならきっと面白いはず」と思ってもらおう、と。だからひとつひとつのコラムに下手は打てないというプレッシャーがあった。今は3誌だけの連載で書きたいことを書けている。など貴重な話しが聞けてとても嬉しかったです。

司会をされた演劇ジャーナリストの徳永京子さんもツイッターで『「30祭」トーク、ある参加者の方方の質問に答えて、松尾さんが書くモチベーションについて話していたことが心に残る。「以前はたくさんいた、文章で笑わせる人が今はほとんどいない。自分はそこを続けていきたい」』とつぶやかれていて、我ながらよい質問したなと自画自賛しています。

そのあと、大人計画の劇団員を怒ったことはありますか?という質問があり「怒らないと何もできない人の集団だから怒りまくった」と答えていました。舞台の袖の幕は劇中は「無いもの」なのにそれを暖簾をあらよっとするように手で払って出てきたらそりゃ怒るでしょう、と舞台の袖まで動き身ぶりを加え話し、「大人計画の30年はこういう人との戦いだったのです」と声を大きくすると観客みんな爆笑しました。

楽しかった時間はあっという間に終わり司会の徳永さんがこれが最後の質問ですと言うと、また前のほうに座っていた別の人が挙手して「以前いいともに出られたと思いますがその時のネームプレートは取ってありますか?」と質問しました。正直、最後にその質問かよ、と思いましたが、松尾さんも「前のほうにはミーハーな人が多いですね」と言い「正直どうなったかわかりません」とぶっきらぼうに答えました。質問者もそれでもひるまず「もうひとつだけ。その時のタモリさんの匂いはどうでしたか?」とグイグイきました。松尾さんは「申し訳ありませんがタモリさんの匂いはかいでません」と言い、そのあと「大人計画の30年はこういう人たちとの戦いでもあったのです」と言い捨てて、トークショーは終わり、この日一番の爆笑が起きました。まさか「にわか」の人たちが松尾さんの仕込みということはないと思いますが、完成度の高い喜劇を1本観終えたような充実感がありました。

僕もこれからまだいろいろ初めてのことに手を出し「にわか」になることは多々あると思います。ただ、可愛げのある「にわか」になる努力をすることだけは忘れないようにしよう、と心に誓った次第です。

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Peanuts Journal vol.2

当店入荷で(3月11日現在)在庫のあるレコードの収録曲を使ったプレイリストの第二弾を公開しました。BGMにご利用してもらえれば嬉しいです。第一弾も合わせてチェックしてみください。気に入った曲が収録されたレコードは購入していただけるように、商品ページへリンクを貼っています。売り切れたらリンクを消去していきますので気になる方はお早めに。

1.AMERICA “RIGHT BEFORE YOUR EYES”
2.CARPENTERS “I WON’T LAST A DAY WITHOUT YOU”
3.DIANA ROSS “YOU GOT IT”
4.STEVIE WONDER “YOU’VE GOT IT BAD GIRL”
5.ORIGINAL LOVE “微笑について”
6.HI-FI SET “ファッショナブル・ラヴァー”
7.中原めいこ “魔法のカーペット”
8.杏里 “最後のサーフホリデー”
9.MIDNIGHT STAR “OPERATOR”
10.BAXENDALE “I BUILT THIS CITY (JUSTUS KOHNCKE MIX)”
11.THE AUTOMATIC “MAGAZINES”
12.GIRLS ALOUD “UNTOUCHABLE”
13.ACHILIFUNK SOUND SYSTEM “NERAI UCHI”
14.REVL9N “SOMEONE LIKE YOU”
15.SPANDAU BALLET “CHANT No.1″
16.BOOM BIP “THIRD STREAM (FOUR TET REMIX)”
17.ZERO 7 “HOME (BEN WATT REMIX)”
18.SHORTWAVE SET “NO SOCIAL”
19.BLUR “COUNTRY HOUSE”
20.KENICKIE “MILLIONAIRE SWEEPER”

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